デジタル・カメラで撮るポートレート



 スナップ写真では画面を作れないので、特に背景がメインの被写体のじゃまをする。またデジタル・カメラのほとんどが広角でかつAEなので被写界深度を浅くして背景を撮影時にぼかす事が出来ない。
 例えば、(1)の写真はスナップであるが、背景の男性二人が映り込んでいる事により、メインの女性の邪魔をしている。


(1)-オリジナル写真 
MacExpo '96、QV-10にて撮影

 この様な時には、Photoshopで背景をぼかせばよい。まずは投げなわツールなどで背景を選択。自然さを出すために「範囲選択/境界をぼかす」、で半径6ピクセルだけ境界をぼかす。さらに「フィルタ/ぼかし/ぼかし(ガウス)」で背景を15ピクセルぼかす。あまりやりすぎても不自然だし、実際は距離によってボケの差が出ないが、まあ、気にならない程度に。実行後も輪郭に不自然さが残るだろうから、ぼかしツールで輪郭をごまかしておくとよい。結果が(2)である。


(2)-背景をぼかす

 ソフトフォーカスの効果により、柔らかい感じを出す。その原理は鮮明な画像に半透明なものや光が拡散するものをかぶせる事である。一般の撮影においてソフトフォーカスをかけるには、専用のアタッチメントを使ったり、フィルタにグリースを塗ったり、紗をかけたりする工夫が必要である。
 Photoshop3.0以降においてソフトフォーカスをかけるのは簡単で、レイヤーの複製を行い、上のレイヤーを「フィルタ/ぼかし/ぼかし(ガウス)」でこの写真の半径15ピクセルぐらいぼかす。ぼかし具合は、写真の大きさなどによって判断するように。あとは上のレイヤーの不透明度をコントロールしてソフトフォーカスの度合いを調整すればよい。
 (3)は、「フィルタ/ぼかし/ぼかし(ガウス)」で半径15ピクセルでぼかし、不透明度60%にした。やや暗めに仕上がったので、「イメージ/色調補正/明るさ・コントラスト」で明るさを+30してある。

 
(3)- ソフトフォーカスをかける

 この方法を思いついた時は感動したが、その後「フォトショップ ワウ!ブック」に同様な手法が載っているのを知ってがっかりした。

 効果的なソフトフォーカスをかけるには、被写体の輪郭が光るようにライティング
を考えたり、画面中にキャッチライト的なハイライトを撮し込むとよい。ハミルトンのような、ソフトフォーカスを得意とする写真家の作品を参考にしてみよう。
 例の写真はスナップであって、効果を出すにはいい例では無いが、後から考えて効果を作れるデジタル写真の面白さはある。

 ちなみに最近の一眼レフ・カメラにソフトフォーカス撮影のモードを持つ機種があるが、一回目にフォーカスを合わせて撮影し、アウトフォーカスにしてから二回目の露光を行うようである。原理的にはまったく同じ。


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